食料自給率の向上に貢献しよう

農林水産省の統計から

1.令和5年度の食料自給率

カロリーベースの食料自給率については、小麦の生産量増加や油脂類の消費量減少がプラス要因となる一方で、てん菜の糖度低下による国産原料の製糖量の減少がマイナス要因となり、前年度並みの38%となりました。カロリーベースの食料国産率についても、前年度並みの47%となりました。なお、飼料自給率は、前年度比+1ポイントの27%となりました。

生産額ベースの食料自給率については、輸入された食料の量は前年度と同程度だが、国際的な穀物価格や生産資材価格の水準が前年度と比較して落ち着き、輸入総額が前年度比で減少(特に、畜産物、油脂類(飼料、原料を含む)の輸入総額が減少)したこと等により、前年度比+3ポイントの61%となりました。生産額ベースの食料国産率についても、前年度比+2ポイントの67%となりました。

(参考)生産額ベースの食料自給率の分子は、国内生産額(国内生産量×国産単価)から、畜産物の飼料輸入額及び加工食品(油脂類・でん粉・砂糖類等)の原料輸入額を差し引くこととしており、飼料輸入額や原料輸入額が減少すると、生産額ベースの食料自給率は上昇します。

令和5年度食料自給率について(PDF : 272KB)

20230213

20230213

おはようございます。福井農園です。
昨日は今年前半の作付計画を立案していたため,出荷はごく僅かです。
●チンゲン菜花⑤

コラムの続き
アブラムシはヨトウムシなどに比べて殺虫剤以外の有効な防除方法が少なく、増殖速度も1ヶ月で数万倍と早いため殺虫剤に対する抵抗性の突然変異が起きやすく、難防除害虫の最右翼です。
殺虫剤以外の対策として防虫ネットで作物を覆う方法がありますが、防虫ネットの網目を0.4mm以下にする必要があります(福井農園では1mmを使っています)。0.4mmの網目の防虫ネットは風通しが悪くトンネル内が高温となって障害が発生するため、なかなか導入が難しい状況です。発想を変えて,夜盗虫(蛾)は侵入できない3.6mmの網目の防虫ネットを設置して,テントウムシなど土着の天敵を積極的に活用することを今年は考えます。
アブラムシは黄色に引き寄せられる性質があり、黄色の粘着テープは有効な防除手段です。またキラキラ光るものが嫌いなため、シルバーテープや銀色マルチシートも有効です。今年はこれらの方法も含めて総合的にアブラムシの管理を行います。
(続く)

20230216

20230216

本日(2/16)の出荷情報をお知らせいたします。
●チンゲン菜花㉑
いよいよチンゲン菜の菜花が最盛期を迎えました。柔らかくてジューシーな菜花です。菜花の最高峰と言われます。是非ご賞味下さい。
●カブ①
●高菜⑤
●ザーサイ②

コラムの続き
★福井農園の魅力(公式LINEアンケートから)
福井農園の公式LINEは現在107名が参加し,うち毎日の出荷情報を閲覧している方が60名ほどです。アンケート調査では40名弱の方から回答が得られました。
問1.有機肥料栽培に関心がありますか?(①大いにある ②ある ③特に関心はない)では①が87%、②が13%で、回答者全員が「有機肥料栽培」に関心がありました。
問2.無農薬栽培に関心がありますか?(①大いにある ②ある ③特に関心はない)では①が83%、②が17%で、全員の回答者が「無農薬栽培」に関心がありました。
●「有機無農薬栽培」は回答者全員が関心を持っておられ,一定の需要があることを示しています。特に「有機肥料栽培」と「無農薬栽培」の割合がほぼ同じことから,両者が一体となって理解されています。
(続く)

20230220

20230220

本日(2/20)の出荷はお休みいたします。よろしくお願いいたします。

コラムの続き
問4.福井農園の野菜の良い所は何ですか?(関心のある順に複数選択可)では、
点数の高い順から①無農薬:94点、②美味しい:91点、③有機肥料栽培:77点、④信頼:70点、⑤値段:32点、⑥珍しい野菜:29点でした。
●「無農薬栽培」は農薬に対する消費者の関心の高さが現れており、無農薬が明確に表記されている野菜がスーパーや直売所で少ないことが影響しているものと考えます。「美味しい」が第2位でした。農園に「おまかせセット」を購入に来られる方々は、口を揃えて「美味しい」と言っていただけます。『美味しい野菜』とは何かを数値で明らかに出来ると良いと思っています。
1位2位がいずれも90点以上であったのに対して『有機肥料栽培』は77点でした。低い数値ではありませんが、有機肥料栽培の効果が判りづらいのかと思います。確かに「有機栽培」や「オーガニック」と言われるとイメージとして身体に良いとか自然にやさしいと思えますが、何が良いのか漠然としています。今後,解説いたします。
(続く)

20230227

20230227

本日(2/27)の出荷情報をお知らせいたします。
●小ネギ⑤
●チンゲン菜③
●ハンサムグリーン④

コラムの続き
★IPM(総合的病害虫管理)Ⅰ(新シリーズ)
IPM(Integrated Pest Management)は総合病害虫管理とも言われ、世界的に大きな流れとなっています。農薬に頼りきって病害虫を防除するのではなく、生物的防除・栽培方法による防除・物理的防除などを組み合わせることで経済的被害が生じないレベル以下に病害虫を抑える考え方です。過度な農薬使用に対するアンチテーゼの意味を持ちながら、農薬を無下に否定するのではなく、いざという時の切り札とする考え方で、環境や人体への負荷を抑えて持続可能な農業生産のために取りうる手段を限りなく追求する考え方です。特に、安易に農薬を使用して病害虫の発生をゼロにするのではなく、経済的被害が生じるレベル以下に抑制することを目標としています。しかし、IPMに取り組むためには高度な知識と技術力を必要とするため、研究は進んでいますが、実際にIPMに取り組む生産農家は日本ではまだ多くはありません。
(続く)

20230228

20230228

おはようございます。福井農園です。
昨日は前職の会議などが重なり,出荷をお休みいたします。

コラムの続き
IPM(総合的病害虫管理)の考え方は、例えば害虫の防除を殺虫剤だけに頼るのでなく、防除効果が低いものであっても複数の色々な方法を組み合わせることで一定の病害虫の防除管理を行うことです。
確かに神経系阻害剤の殺虫剤を使えば、一回の散布で100%コロリと防除できます。これに対してIPM(総合病害虫管理)では、天敵(防除効率60%)にフェロモン誘殺(防除効率40%)を組み合わせることで((100✕0.6)✕0.4)=24%、すなわち76%の防除効率が得られ、さらに害虫が嫌がる銀色テープを張る(防除効率40%)と、24✕0.4=9.6%,すなわち90.4%の防除効率が得られます。
このように、一つ一つの防除効率は低くても組み合わせることで一定以上の防除が可能となる考え方です。
これまでの効率化・省力化・大規模生産を求める農業では、このような効率の悪い病害虫防除は敬遠されてきましたが、SDG’sや持続可能性,環境保全型農業に対する関心が高まり、注目され始めました。
(続く)

20230302

20230302

コラムの続き
(3)天敵の利用
以前にも書いたように、土着の天敵や天敵製剤を積極的に活用して害虫の発生を抑えます。
天敵製剤は着実な効果が見込まれますが,価格が少々高価なのと,温室とは違って露地栽培ではせっかく放飼した天敵が他の圃場に散らばってしまうため,なかなか使いづらい点が難点です。また天敵に影響のある殺虫剤は使用できなくなるため、注意深い観察が不可欠となります。
土着の天敵は思った以上に種類も数も豊富にいることが判ってきました。今年は天敵の居心地の良い圃場管理を行って有効に活用したいと思います。
天敵は害虫を食べ尽くすと畑から別の畑に移動してしまいます。そこで、作物には害を及ぼさない餌となる虫を繁殖させることができる植物(バンカー植物といいます)を育てます。
ナスの害虫のミナミキイロアザミウマの天敵としてヒメハナカメムシを利用する場合に、餌になるコスモスアザミウマ(害虫ではありません)を繁殖できるフレンチマリーゴールドをバンカー植物として植えることでヒメハナカメムシを畑に引き留めておくことができます。これは今年チャレンジしてみます。(農園が華やかになりますね!)
(続く)

20230303

20230303

本日(3/3)の出荷情報をお知らせいたします。
●小ネギ「竹千代」②
●チンゲン菜「翠勲」⑤
●芽キャベツ①
●ハンサムグリーン③

コラムの続き
(4)微生物の利用
以前にも書いた微生物農薬のBT剤で蝶や蛾の幼虫を防除する方法、昆虫に寄生する微生物を散布して防除する方法、土の中で蛹になるアザミウマを防除するために株下に寄生性微生物を繁殖させる方法などがあります。しかし、BT剤以外はこれらの微生物と共存する環境を整える必要があり、露地栽培では高度な技術と圃場の環境管理の感性が要求されます。今年はBT剤以外の微生物による害虫防除にもチャレンジしたいと思います。
(5)天敵線虫の利用
昆虫病原性線虫を土の中に繁殖させ、ヨトウムシが昼間に土に潜り込むと体内に寄生して増殖・殺虫するもので、「バイオセーフ」という名前で製品化されています。そこそこ高価なものですが、畑に線虫が定着してくれれば防除効果は間違いなく見られるとのことですので、今年は試験的に導入してみたいと考えています。
(続く)

20230305

20230305

コラムの続き
★IPM(総合的病害虫管理)Ⅲ
●栽培方法による防除とは?
(1)健全育苗
老化苗(鉢の底で根がグルグル回ってしまった苗)は根の活性が低下して定植後の生育が一時的に衰えます。根の活性が衰えると地上部の生育も緩慢となって病気になりやすく、害虫のターゲットにもなります(経験則としてスクスク生育している時には害虫が寄りつきにくく、生育が衰えると害虫が寄ってきます。恐らく生育ストレスによって植物体から何らかの物質が発散されてそれが害虫の目印になるのではないかと考えています)。まさに「よわりめにたたりめ」ですね。(私自身も老化は悩ましい問題です)
(2)輪作
同じ種類の野菜を連作すると特定の土壌病原菌が増殖したり、土壌養分バランスがくずれたりするので、同じ科の作物を通常3年ほど繰り返して作付けしないように輪作します。同じ種類の野菜の基本は「科」です(ナス科・ウリ科・アブラナ科など)。
まさに福井農園の1畝1作物であれば如何様にも対応が可能です。福井農園の最大のノウハウは作付計画で、5年後まで計画が立案されています。
(続く)

20240209

20240209

本日の出荷情報をお知らせいたします。
●赤根ホウレンソウ➅
●高菜②
●子持ち高菜①
●小ネギ「竹千代」④

【コラムの続き】
(2)防虫ネット
ヨトウムシが入らないように作付けした畝に防虫ネットをかけて侵入を防ぎます。しかし、ヨトウムシは土中で昼間を過ごして夜間に這い回るため、完全には防御できず、防虫ネットの中に入り込んでしまうと何ともならなくなります。
(3)フェロモン剤
ハスモンヨトウの雌が放出する性フェロモンを製剤化したものです。これが一度入ると出られない構造のトラップポットの中に入れると、雌のフェロモンに惹きつけられて雄がトラップポットの中に誘引されて捕殺します。雄がいなくなることで雌は受精できず、次世代幼虫を減少させることが出来ます。
(4)捕殺
原始的な方法ですが、見つけたら手で取る(別名、テデトール)。以外と効果的で、若齢幼虫は一カ所に集まっているため大量に殺すことが出来ますし、食害がひどい老齢幼虫を捕殺することで被害は大幅に軽減されます。ただし、毎日見回る必要があり、結構大変です。